あっせん申請から解決までの流れ
⑴ 行政機関に相談する
⑵ あっせんの概要を知る
⑶ 代理人に依頼するかどうかを決める
⑷ 裁判外紛争解決機関(ADR機関)を選ぶ
⑸ 根拠法令、判例を調べる
⑹ あっせん申立書を作成する
⑺ 面談日程の調整をする
⑻ あっせんに参加する
⑼ 和解する
⑽ 和解合意書にサイン(押印)する
⑴ 行政機関に相談する
(既に行政機関に相談され、あっせんを勧められたのでしたら、このプロセスは飛ばしてください。)
まず最初に貴方がすべきことは、行政機関に問い合わせをすることです。
あっせんは、労働者と会社が話し合いで解決するための制度ですが、そもそも会社が、労働基準法などの法律に違反をしているのでしたら、一発アウトです。
あっせんなどという回りくどいやり方ではなく、貴方に代わって、管轄の行政機関が会社に指導や助言をしてくれます。
その際、大事なことは、直接行政機関に足を運ぶことです。
やはり、対面で相談するのと電話で済ませるのとでは、伝わり方がぜんぜん違ってきます。
直接訪ねてくるというのは、それだけ真剣であることを認識してもらいやすくなるからです。
相談に応じてくれる主な行政機関は、次のとおりです。
◆ 解雇(雇止め)/配置転換/賃金の引下げ/募集・採用/いじめ・嫌がらせ・ハラスメントなどのあらゆる分野の労働問題に関すること
・管轄の労働基準監督署 総合労働相談コーナー
◆ 労働基準 に関すること
・管轄の労働基準監督署 方面(労働条件、賃金)
◆ 労働災害(労災) に関すること
・管轄の労働基準監督署 労災課
◆ 安全衛生に関すること
・管轄の労働基準監督署 安全衛生課
◆ セクシャルハラスメント(セクハラ)/育児・介護休業 に関すること
・都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)
◆ 派遣労働 に関すること
・都道府県労働局 需給調整部(課)
◆ 労働基準監督署の対応 に関すること
・都道府県労働局 労働基準部
◆ 求職/雇用保険 に関すること
・住所地の公共職業安定所(ハローワーク)
🗾 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
◆ 社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入/年金 に関すること
・年金事務所
◆ 健康保険の給付 に関すること
・協会けんぽ(全国健康保険協会)
⑵ あっせんの概要を知る
行政機関から話があれば、その際に手渡されているかもしれませんが、もし、手元にないようでしたら、以下のサイトからあっせんに関する無料のパンフレットをダウンロードできます。
【厚生労働省ホームページ】
パンフレット「職場のトラブル解決サポートします」(全体版)[PDF形式:2,187KB]
ひと通り目を通して、わからないことがあれば、直接電話で問い合わせると良いでしょう。
⑶ 代理人に依頼するかどうかを決める
あっせんに関するパンフレットなどを読んで、自分一人では難しそうだと判断されましたら、迷わず、特定社会保険労務士などの専門家に代理を依頼しましょう。
相談できる社労士紹介
・エリア別
・相談別、トラブル別
・費用別
※ 代理人に依頼することにした場合には、⑷以降のプロセスは、代理人の指示に従ってください。
⑷ 裁判外紛争解決機関(ADR機関)を選ぶ
あっせんの申請(申立)ができる主な機関は、次の通りです。
① 国(厚生労働省)
・都道府県労働局等 総合労働相談コーナー
② 都道府県
・労働相談センター等の労働相談窓口
( ※ 地域によって、窓口の名称は異なります。 )
③ 民間団体
・都道府県社会保険労務士会 社労士会労働紛争解決センター
基本的には、ほぼ同じと言ってよいと思いますが、主に以下のような違いがあります。
行政機関 | 民間団体 | |
費用 | 無料 | 概ね1,080円~10,800円 |
対応時間 | 平日昼間 | 平日(夜間も可)及び土曜日 |
期日 | 原則1回 | 3回まで可 |
もし、どちらにするかで迷ったら、行政ADR機関が無難でしょう。
なお、一般に、民間ADR機関の方が申請件数が少なく、丁寧な対応が期待できると言われています。
⑸ 根拠法令、判例を調べる
続いて、自分の主張を裏付ける根拠法令や判例を調べます。
ここで、該当しそうな法令や適用できそうな判例が見つかると、⑹で説明するあっせん申立書の主張に説得力が出ます。
具体的な調べ方としては、以下のいずれかの書籍を図書館などで探して、自分のケースが該当しそうな箇所を熟読してみると良いでしょう。
・詳解 労働法 水町勇一郎著 東京大学出版会
なお、後で見返すことができるよう、コピーを取っておくことをお忘れなく。
もしくは、少し値段が高めですが、書店やAmazonなどで購入することも可能です。
⑹ あっせん申立書を作成する
続いて、ADR 機関に提出するあっせん申請書を作成します。
あっせん申立書は、民間のADR機関では、あっせん申立書とも言います。
違いは、それぞれ根拠法が違うので、名称を使い分けている程度です。
以下では、いくつかの参考文例をご紹介しています。
あっせん申請書をあっせん申立書と読み替えてご利用ください。
・長野労働局 個別労働紛争解決制度あっせん申請書記載例集
・社労士会労働紛争解決センター東京 あっせん申立書記入例
あっせん申立書が完成したら、いよいよ、実際にあっせんを希望するADR機関に提出します。
⑺ 面談日程の調整をする
あっせんの申し立てが受理され、会社側がこれに応じるという回答がADR機関にあると、具体的なあっせん日時の調整の連絡がADR機関から入ります。
今、「会社側がこれに応じるという回答がADR機関にあると」とさらっと書きましたが、実は、ここで会社側があっせんに応じないという選択をしてくる場合があります。
この場合には、申し立てたあっせんは、残念ながら、ここまでで打ち切りとなります。
あっせんが途中で打ち切られた場合には、労働審判もしくは裁判を起こしてさらに争うかどうかを検討することになります。
⑻ あっせんに参加する
会社側があっせんに応じ、あっせん日時の調整が整うと、後は、指定された日時にADR機関に赴くだけです。
あっせんの席に着くと、双方どちらとも利害関係のない、指名されたあっせん委員が控えていて、貴方と会社側の言い分をそれぞれ聞いてくれます。
ここでは、最初から最後まで貴方と会社側が顔を合わすことはありませんので、貴方の思いの丈を思う存分お話ください。
⑼ 和解する
あっせん委員の提示したあっせん案に同意するかどうかは、貴方の自由です。
当然、会社側が同意しないこともあり得ます。
しかし、ここまで来て、最終的に物別れに終われば、また最初から労働審判や裁判手続きを進めなければなりません。
せっかく互いに話し合いによる解決のテーブルに着いたのですから、極力、互いに妥協点を見いだして、和解されることをお勧めします。
⑽ 和解合意書にサイン(押印)する
あっせん委員の提示したあっせん案に双方が同意すれば、和解合意書又は和解契約書が作成されます。
和解合意書に双方が記名押印することで、無事和解が成立します。
→ 解決へ!
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